第34回日本高血圧学会総会速報
武田薬品工業株式会社

2011年10月25日更新

ARBあるいはCCB単独療法中の高血圧患者に対するARBとCCBによる併用療法の治療効果についての多面的検討

田村 功一 氏前田 晃延 氏

横浜市立大学大学院医学研究科病態制御内科学
前田 晃延 氏(写真左)
准教授 田村 功一 氏(写真右)

 血圧管理は,臓器障害の予防や心血管イベントの抑制に有用であることが多くの臨床試験で証明されている。しかし,実臨床での降圧目標達成率は改善の余地が大きい。

 前田氏らは,降圧効果や汎用性,安全性などの点から,実臨床で広く用いられているアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)とカルシウム拮抗薬(CCB)の併用療法が,それぞれの単剤療法での限界を乗り越える上で有用であることを示した。

単剤療法による降圧目標未達成患者にARBとCCBを併用

 「高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)」に示されている通り,ARBやCCBは,心血管疾患,慢性腎臓病(CKD),糖尿病をはじめとした多くの合併症患者に対しても積極的適応が可能であり,利用しやすい降圧薬である。その一方,降圧目標達成のためには,降圧薬の併用が必要となる患者も少なくないことが指摘されている。

 そこで前田氏らは,4週間以上のカンデサルタン8mg/日単剤,またはアムロジピン5mg/日単剤投与下で降圧目標に達していない高血圧患者各10例を対象として,カンデサルタン8mg/日とアムロジピン5mg/日の併用療法を12週間行い,血圧,その他の心血管関連指標を検討した。ARBとCCBの併用はJSH2009でも推奨されている併用療法の1つである。

 カンデサルタンを追加したARB追加群と,アムロジピンを追加したCCB追加群とでは,併用前のベースラインにおける血圧をはじめとする患者背景に有意差はなかった。平均年齢は62歳,平均BMIは25.6kg/m2,インスリン抵抗性指標のHOMA-IR平均値は3.9であった。

併用療法で良好な降圧効果が得られ心血管関連指標も改善

 ARBとCCBの併用療法を12週間行った結果,全20例における診察室血圧は153.2/89.2mmHgから135.1/78.0mmHgへ(図1),起床時の家庭血圧は149.5/86.8mmHgから132.4/76.4mmHgへ(図2),いずれも有意に低下した(P<0.0001)。診察室脈拍に変化は認められなかった。

図1
図2

 さらに,併用療法は腎機能(推算糸球体濾過量;eGFR)の低下を伴わず,尿中アルブミン排泄量(尿中アルブミン/クレアチニン比;UACR)を373mg/g-Crから105mg/g-Crへ有意に改善したほか(P<0.01,図3),動脈硬化関連指標である上腕-足首脈波伝播速度(baPWV)を1,912cm/秒から1,790cm/秒へ,中心血圧も165.2mmHgから149.8mmHgに有意に改善した。さらにHOMA-IRも3.9から2.6に有意に改善した。

図3

 以上の結果から前田氏は,ARBあるいはCCBの単独療法にて降圧目標未達成であった高血圧患者に対するARBとCCBの併用療法は,
(1)診察室血圧,家庭血圧,中心血圧の低下
(2)eGFRの低下を伴わない尿中アルブミン排泄の抑制
(3)インスリン抵抗性の改善
—に寄与するとまとめた上で,今回の併用療法について「pleiotropic(多面的)な改善が認められた」と述べた。